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憂鬱堪えがたいばかりの

憂鬱堪えがたいばかりの粗末な、小さい宿屋が



四軒だけ並んでいる。

私は、
Fという宿屋を選んだ。

四軒の中では、
まだしも、
少しましなところが、
あるように思われたからである。

意地の悪そうな、
下品な女中に案内されて二階に上り、
部屋に通されて見ると、
私は、
いい年をして、
泣きそうな気がした。

この短からぬ時間は私の身の上にも私相当の変化をひき起こしていた。

私は足かけ八年住み慣れた札幌――ごく手短に言っても、
そこで私の上にもいろいろな出来事がわき上がった。

妻も迎えた。

三人の子の父ともなった。

長い間の信仰から離れて教会とも縁を切った。

輸入瞽女の唄が済んでからは省作の噂で持ち切った。

省作がいったいよくない。

一方の女を思い切らないで、
人の婿になるちは大の不徳義だ、
不都合きわまった話だ。

婿をとる側になってみたまえ、
こんなことされて堪るもんかこう言うのは深田贔屓の連中だ。

おそれいります。

魚容は一揖して、
何せどうも、
身は軽くして泥滓を離れたのですからなあ。

叱らないで下さいよ。

とつい口癖になっているので、
余計な一言を附加えた。

存じて居ります。

と雌の烏は落ちついて、
ずいぶんいままで、
御苦労をなさいましたそうですからね。

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