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十年間の私の東京生活

十年間の私の東京生活を、その時々の風景に託して



書いてみたいと思っていた。

私は、
ことし三十二歳である。

日本の倫理に於ても、
この年齢は、
既に中年の域にはいりかけたことを意味している。

また私が、
自分の肉体、
情熱に尋ねてみても、
悲しい哉それを否定できない。

ある木などは葉がすっかり散り尽くして、
赤々とした果実だけが真裸で累々と日にさらされていた。

それは快く空の晴れ渡った小春びよりの一日だった。

私の庭下駄に踏まれた落ち葉はかわいた音をたてて微塵に押しひしゃがれた。

輸入おばあさんただいまおばあさんただいま顔も手も墨だらけな、
八つと七つとの重蔵松三郎が重なりあってお辞儀をする。

二人は起ちさまに同じように帽子をほうりつけて、
おばあさん、
一銭おくれおばあさん、
おれにも二人は肩をおばあさんにこすりつけてせがむのである。

女房をぶん殴って颯爽と家を出たところまではよかったが、
試験に落第して帰ったのでは、
どんなに強く女房に罵倒せられるかわからない。

ああ、
いっそ死にたいと極度の疲労のため精神朦朧となり、
君子の道を学んだ者にも似合わず、
しきりに世を呪い、
わが身の不幸を嘆いて、
薄目をあいて空飛ぶ烏の大群を見上げ、
からすには、
貧富が無くて、
仕合せだなあ。

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