という無気力きわまる態度であった。
ぼんやり、
Hと二人で、
雌雄の穴居の一日一日を迎え送っているのである。
Hは快活であった。
一日に二、
三度は私を口汚く呶鳴るのだが、
あとはけろりとして英語の勉強をはじめるのである。
デスガ私ハ私ノ故郷ダカラ好キデス。
イロイロナモノガ私ノ心ヲオドラセマス。
私ノスケッチニ取ルベキトコロノアルモノガアルデショウカ。
私ハナントナクコンナツマラヌモノヲあなたニ見テモラウノガハズカシイノデス。
輸入省作は長い長い二回の手紙を読み、
切実でそうして明快なおとよが心線に触れたのである。
萎れた草花が水を吸い上げて生気を得たごとく、
省作は新たなる血潮が全身にみなぎるを覚えて、
命が確実になった心持ちがするのである。
乃公は何とかして、
あの人たちに、
乃公の立派に出世した姿をいちど見せてやりたい。
あの人たちは昔から乃公をまるで阿呆か何かみたいに思っているのだ。
そうだ、
漢陽へ行くよりは、
これからお前と一緒に故郷に帰り、
お前のその綺麗な顔をみんなに見せて、
おどろかしてやりたい。