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昭和十五年、七月三日の事である。その頃は、
私にも、
少しお金の余裕があったのである。
けれども、
それから先の事は、
やはり真暗であった。
小説が少しも書けなくなる事だってあるかも知れない。
二箇月間、
小説が全く書けなかったら、
私は、
もとの無一文になる筈である。
それから二人はまた二十分ほど黙ったままで向かい合ってすわりつづけた。
じゃまた持って来ますから見てください。
今度はもっといいものをかいて来ますその沈黙のあとで、
君が腰を浮かせながら言ったこれだけの言葉はまた僕を驚かせた。
輸入おッ母さんに苦労ばかりさせて済まないです。
なるほどわたしの我儘に違いないでしょう、
けれどもおッ母さん、
わたしの仕合せ不仕合せは、
深田にいるいないに関係はないでしょう。
あの家にいても、
面白くなくいては、
やっぱり不仕合せですからねイ。
早く父母に死別し、
親戚の家を転々して育って、
自分の財産というものも、
その間に綺麗さっぱり無くなっていて、
いまは親戚一同から厄介者の扱いを受け、
ひとりの酒くらいの伯父が、
酔余の興にその家の色黒く痩せこけた無学の下婢をこの魚容に押しつけ、
結婚せよ、
よい縁だ、
と傍若無人に勝手にきめて、
魚容は大いに迷惑ではあったが、
この伯父もまた育ての親のひとりであって、
謂わば海山の大恩人に違いないのであるから、
その酔漢の無礼な思いつきに対して怒る事も出来ず、
涙を怺え、
うつろな気持で自分より二つ年上のその痩せてひからびた醜い女をめとったのである。
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